島根半島の複雑な地質現象を反映した岩石海岸

稲佐の浜から日御碕にかけて海岸は、褶曲や断層が発達する島根半島の地質構造を反映した岩石海岸である。火山岩や堆積岩よりできた急崖は侵食によって独自の景観を呈していることが多く、古くから人々の生活と関係する言葉が地名に使われている。熱水変質作用によって赤色になっている海食崖は赤石鼻、尖った島は筆投島などのようによばれている。粗粒玄武岩よりなる約10mの高さの四角柱の礫を中心として、周囲に7m前後の大きさの巨礫が集積した島は礫島(つぶでじま)とよばれる。頁岩層が侵食されてできた数少ない礫浜海岸は広げ浜とよばれ、人々にとって自然と触れあうことのできる貴重な親水海岸となっている。

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〇島根半島エリア(ジオヘリテイジ)

・眺望サイト(アクセスが困難又は容易でないジオサイトについて、眺望し学ぶ地点)

筆投島(ふでなげじま)は、ひろげの浜からおよそ200mにある日御碕海岸展望所から見える。平安時代に画聖と呼ばれた巨勢金岡(こせのかなおか)が、この島を描こうとしたが、その美しさを描ききれず、ついにその筆を投げ、島の絶景を讃えたことから、筆投島と呼ばれるようになったと伝えられている。

くじら石

展望所の直下の海の中には、くじら石と呼ばれる大岩がある。江戸時代に大社に松江藩の鯨方がおかれて鯨漁が行われていた一帯なので、ちなんで名付けられたと思われる。

追石鼻からの景色

日御碕が近い追石鼻(おいしばな)には、遊歩道が整備されており、ここも大社湾岸の景色が楽しめる。大社湾岸は釣りも盛んで、青物や底物など季節を問わず釣り人が絶えないところでもある。

追石鼻の景色

礫(つぶて)島は、日御碕道路(県道29号線)から250~300mほど離れた沖合にみえる巨礫の集積した島である。高さ約10mの四角柱の礫を中心に、7m前後の大きさの礫が周辺に集まっている。礫は粗粒玄武岩よりなり、岩脈に特徴的な柱状節理が観察される。礫島の対岸にも同質の粗粒玄武岩の岩脈が分布していることから,礫島はその一部であったとみられる。巨礫の集積した形をめぐっは,地域では伝説が語られている。礫島は、伝説では、国譲りのときにオオクニヌシの息子のタケミナカタと高天原からの使いのタケミカヅチが力比べをして、稲佐の浜から岩を投げあった。その岩が同じ場所まで飛んで積み上がったものと言われている。

礫島

未来の子供たちが現在の私たちと同じように、今の美しい自然環境を利用できるようにするためにも、著しい環境の改変につながるような動植物や岩石等の採取等の自然環境の破壊は厳に慎んでください

大社湾岸(筆投げ島周辺)のジオ学習サイト。

大社湾岸は稲佐の浜から日御碕までの海岸で、途中に大きな展望所が二つとひろげの浜に駐車場があります。その他の場所でも、車が1〜2台止められて展望できる場所があります。カーブの多い道路ですので、運転にも徒歩、自転車等での通行にも十分注意をして、美しい景色をお楽しみください。

Googleマップでは、こちらから地図をごらんください。

https://goo.gl/maps/eVvuvBshEN12