宍道湖とヤマトシジミ

ヤマトシジミは、成貝は塩分耐性がかなり広く、淡水でも生育することができるが、稚貝の耐性はかなり狭く、中海のような汽水域の塩分濃度や淡水では再生産することができない。ヤマトシジミの産卵に最も適した塩分濃度は、海水の約6分の1程度といわれており、宍道湖のような弱淡水域が最適な繁殖環境となっている。ヤマトシジミは宍道湖の環境にぴったり合った特異な生物といえ、競争相手のほとんどない宍道湖において、爆発的に生息域を広げることができた。

宍道湖は100m沖まで水深2~3mの湖棚が広がっており、さらに沖では水深4~5mの緩やかな湖盆となっている。湖棚は砂が堆積しておりシジミにとって好適な底質環境になっているが、ヘドロ堆積物で占められている湖盆では塩分の高い水が停滞しやすいため、硫化水素を発生するなど近年シジミの生息に悪影響をもたらすこともある。

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ヤマトシジミ