石見畳ヶ浦の地質など
おもに唐鐘累層の礫岩と砂岩の層
畳が浦の入り口の写真です。まず目に付くのは、大きな円礫をはさんだ層でしょう。今にも落ちてきそうに見えます。(でも、落ちない!)海側に見える2つの小さい島は手前から犬島と猫島です。
円礫の部分です。人頭大の石から、さらに大きく数十㎝の大きさのものも中にはあります。(出雲の大森層の円礫に似ています) |
畳ヶ浦の地層は、上図の説明からもわかるように新生代・新第三紀・中新世に堆積したものです。つまり、出雲地方に見られる地層と同じ時代に堆積したものです。 |
上の写真の礫岩が落ちてくることは、まずありません。
なぜなら、貝などに含まれる成分の炭酸カルシウムが、地層をしっかりと固めているからです。
コンクリートも炭酸カルシウム(CaCO3)をもとにした成分(CaO)を中心としてできていますので、この崖は自然のコンクリートということになります。
(炭酸カルシウムは塩酸をかけると泡を出してとけていきます。貝殻も、コンクリートも、この礫岩のかべも塩酸をかけると泡を出してとけるのです!!)
海岸に出ると、千畳敷と言われるように、平らな砂岩の層が広がっています。 |
砂岩の層には、直線的な切れ目が見られます。これを節理と言います。(火成岩の節理とは成因が違います) |
畳ヶ浦では、このようなノジュール(団塊)があちこちに見られます。 |
ノジュールは、砂に穴をあけて住む貝(穿孔せんこう貝)の貝殻の成分(炭酸カルシウム)が、まわりの砂を固めることでできあがります。 |
畳ヶ浦では、たくさんの化石が見られます。左の写真は、流木に穴をあけて住むフナクイムシの巣穴です。(“ムシ”と言っても2枚貝の仲間です)巣穴が隙間もないほど集まっています。右の巻き貝は、カドノサワキリガイダマシです。畳ヶ浦では一番多く見ることができます。(出雲 布志名層のタナグラキリガイダマシと似ています)
ツノガイの仲間です。出雲では、大森層、布志名層でよく見られます。 |
たくさんの二枚貝が集まっています。中央にあるのは、シラトリアサリです。 |
黒っぽく点々とつながっているのは、サンドパイプです。どんな生き物が住んでいたのでしょうか? |
二枚貝が、内側を上に向けて円形(皿形) に集まって堆積しているところがたくさん見られます。これは、エイが貝を食べた跡が化石として残ったものです。 |
左側の大きな貝は、ノムラナミガイです。右の黒が目立つ貝は、ワタナベサルボウと思われます。(出雲 布志名層の化石とよく似ています) |
カキの化石もありました。かなり大きな化石です。 |
ハートの形をした貝は、上の写真にあるノムラナミガイです。 ノムラナミガイは、砂に穴を掘って住む貝ですが、その時に縦になってもぐっています。その位置のまま埋もれて化石になることが多く、貝を切ったハート型で産出することが多いようです。 |
”馬の背”と呼ばれる所です。断層によって山側の地層よりも上に上がっており、海側に傾いています。ここから、くじらの化石(肋骨)が産出しています。 | |
粗粒玄武岩の岩脈です。 砂岩の中に何カ所か岩脈が貫入しています。まわりと比べると黒くなっているのですぐにわかります。(約1000万年前のものです) マグマがとび散った跡が、まわりの砂岩に点々と残っています。(小さな写真の茶色い部分) |