中流(天が淵公園)の様子  (雲南市・木次町・湯村)

観察の内容

各地点共通:(川の幅 粒の色・大きさ 流れの速さ)

中流:いろいろな種類の岩石の観察
岩石に含まれる磁鉄鉱の観察
めずらしい鉱物(お宝)探し

国道314号線沿いの天が淵公園です。
ここは、八岐大蛇伝説のある場所です。下流の蛇の看板がおろちに昇格しましたね。

国道の所から下の河原におりてきました。下流の斐伊川河川敷公園では砂ばかりだったのに、ここでは、石(岩)ばかりが目立ちます。
また、ここの河原の石は一見して丸い形のものが多いことがわかります。水の働きで角が取れてしまったのでしょう。(つまり、ここの石たちは、他の場所から流されてきたものが多いといえます)
さて、ここではどんな種類の岩石が見られるでしょうか? 中流で見られる特徴的な岩石を紹介しましょう。

黒っぽい岩石
左…玄武岩 右…流紋岩
白っぽい岩石
カコウ岩~カコウセンリョク岩
俗に言う 金くそ(岩石ではありません)
(たたら製鉄で出てくる不純物です)

では、下流で見てきた特徴的な3色の粒「白」「ピンク」「透明」は、中流ではどんな様子で見られるでしょうか?

その答えは……

上の写真からもわかるように、下流で見た「白」「ピンク」「透明」の3つの粒は、中流では岩石(カコウ岩カコウセンリョク岩)の中に見つけることができます。つまり、3つの粒は、岩石をつくっている「鉱物」であったのです。(残念ながら、それぞれの粒の大きいものとしては、存在していませんでした)
図で表すと、右のようなイメージでしょうか。
「白」「ピンク」「透明」の粒(鉱物)は、もっと大きな岩石(カコウ岩)をつくるためのパズルのピースのようですね。

砂鉄はないのかな?

下流でたくさん見られた砂鉄は、中流にもあるのでしょうか?
探してみるのですが、大きな石がほとんどで、砂のような細かい粒があまり見つかりませんでした。

中流で一番たくさんある岩石は、カコウ岩です。そこで、カコウ岩に磁石を近づけてみると……?

なんと、磁石がカコウ岩に引きつけられました!!
ペン型の磁石(下の部分)が石に引きつけられ、くっついてしまいます

実は、砂鉄をつくる磁鉄鉱は、鉱物の一つであり、カコウ岩などに多く含まれています。
そして、出雲地方は、日本でも一番多くの磁鉄鉱を含んだカコウ岩を産出します。その磁鉄鉱を利用して、昔から出雲地方は「たたら製鉄」がさかんに行われていました。(「たたら製鉄」と言えば出雲地方ですよね)
奥出雲から中国山地にかけてはカコウ岩地帯が広がっています。このカコウ岩からはたくさんの砂鉄(主に磁鉄鉱)がとれ、それを原料として「たたら製鉄」が行われてきました。一方、山陽側のカコウ岩からとれる砂鉄は、チタン鉄鉱が主成分であり「たたら製鉄」には向かないものでした。


中流にはたくさんの岩石がありますが、中には珍しいものもあります。
例えば、右のような岩石です。
同じ石なのに、白が目立つ部分と黒っぽい部分がくっきりと分かれています。(パンダみたいです…乳牛?)
これは、マグマが上昇してくる時に、前にあった岩石を取り込みながら上昇してくるためにおこります。(捕獲岩ゼノリスと言います。マグマの熱で変成している場合が多いです)
中流(天が淵)ではこのような石が、たくさん見つかります。

 

何とそれだけではなく「お宝」も見つかります。
それは何かというと、水晶(石英のうち無色透明なもの)や黄鉄鉱です。

水晶です(少し透明感が足りないかな) 黄鉄鉱です 表面の小さな黄鉄鉱がキラキラ光っています

何人かで探せばきっと見つかりますよ!  頑張ってみましょう!


ではここらで、中流 の基本的な特徴をまとめてみましょう。(各地点ごとに共通してまとめていきます)

下 流 中 流 上 流
川の幅 400m 100m
粒の色・大きさ(粒径) 白・ピンク・透明 平均5㎜ カコウ 岩 平均10㎝
流れの速さ 歩くくらいの速さ かけ足の速さ
粒の呼び名 石 ・ 岩石

※流れの速さは、河原を水のスピードと同じぐらいの速さで移動して決めました。

中流までの様子をまとめてあります。

おまけ1

中流には「白」「ピンク」「透明」の粒が大きくなったものはないと書きましたが、実は中流ではそれらが少しずつで
すが見つかります。(うそを書いてすみません ごめんね) 例えば下の写真のように・・


大きな「白」正長石です。

大きな「透明」石英です。

なぜ、これらの石が見つかるのでしょうか?

実は、これらの石も同じようにカコウ岩に含まれていたものなのです。
中国山地には、所により巨晶カコウ岩ペグマタイト)が産出します。(カコウ岩がすごくゆっくり冷えたため、とても大きな結晶ができたもの)

その巨晶カコウ岩が砕けてできたものが、これらの「大きな粒」というわけです。

おまけ2


中流(天が淵公園)では、河原での活動が中心となるので水にぬれる心配はありません。しかし、夏場ならヘビやハチへの注意はおこたらないようにしましょう。
また、天が淵公園にはトイレはありません。しかし、車で数分上流に向けて走ると、右の写真のような、トイレのある休憩場所があります。(いざという時にはここへ)