有孔虫とは、体()に穴()を持っていることからつけられた名前です。原生動物の一種であり、アメーバー等の仲間になります。ほとんどが海にすんでいますが、一部、汽水域にすんでいるものもいます。(ごく少数は淡水、なんとしめった土壌中にすむものもいます)
体は殻(主に炭酸カルシウム)と網状の仮足からできています。全体の形は、アンモナイトのようなものから円盤状、円すい状、星形、ボール状など様々で、大きさはふつう0.1㎜~1㎜ぐらいですが、大きいものでは5㎝程度(化石で最大のものは19㎝ぐらい)のものまでいます。
多くのものが海底でくらしており、それらは底生有孔虫とよばれます。それに対してプランクトンのように波に浮かんくらしているものを浮遊性有孔虫といいます。有孔虫にはたくさんの種類があり、現在で生きているものは約4000種類、化石も含めると約35,000種類以上が知られています。

有孔虫の殻は炭酸カルシウムからできており、堆積物中に化石として残りやすく、殻の形も多様・複雑であり、大量に産出することから地層の堆積の相対年代をきめたりするのに役立ちます。また、現生の有孔虫の特ちょう(環境の変化に敏感で、水温・塩分・水深・溶存酸素量など環境の違いに対応して分布している)から、海洋環境を知ることにも役立ちます。その他、殻に含まれる酸素同位体の量から過去の気候を知る手がかりにもなります。
このように、有孔虫は示準化石としても示相化石としてもとても重要な役割をはたしています。

殻(写真右)から仮足(透明な針状)を出している有孔虫
(クインケロキュリナ)

一般的に有孔虫はあまり知られていませんが、お土産で有名な「星の砂」も有孔虫です。その他には、石灰岩をつくるフズリナ(山口県:秋吉台などで見られます)やピラミッドの石をつくるカヘイ石などが有名です。(ピラミッドの石(カヘイ石石灰岩)はほとんど有孔虫だけからできています)

フズリナ古生代(石炭紀~二畳紀)、カヘイ石新生代(古代三紀)の示準化石です。

現生Elphidium
(エルフィディウム)

フズリナ石灰岩

カヘイ石

沖縄産の星の砂です。左から順に「星砂」「太陽の砂」「銭石(ぜにいし)」と呼ばれるようです。(3枚とも同じ倍率でとった写真です)

~山陰海岸の代表的な有孔虫~

(電子顕微鏡を使って撮影したものです)
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Elphidium(エルフィディウム)

Miliolinella(ミリオリネーラ)

Pararotalia (パラロタリア)

Bolivina
(ボリビナ)

Elphidium kusiroense
(クシロ エルフィディウム)

Carterina(カーテリナ)

Reussella(ロイセラ)

Grabratella(グラブラテラ)

*有孔虫の写真は 島根大学教育学部 野村研究室で撮影されたものです。

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