斐伊川放水路から産出する化石
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斐伊川放水路から産出する化石
斐伊川放水路はおもに大森層(砂岩)と布志名層(砂岩)の地層です。ここからは、たくさんの化石が産出しています。
ムカシエンコウガニです。(ツメ部分・甲羅部分) |
ノムラナミガイです |
すべてツメタガイの仲間です。下の2つはメイセンタマガイです。 | モニワホタテガイの貝の裏面です。 |
出雲市役所ユースプラン21 主催 の 「ノーベル賞をめざせ 子ども科学学園」 平成18年10月7日(土) に参加したおりに採集した化石を紹介します。(小学生と希望する保護者の20人前後で化石採集を行いました。)
・放水路をけずった土(岩)が事前に運んできてありそこから化石を取り出しました。ものすごい量の化石(大型のものが多い)が含まれており、探すというよりは保存の良いものを選んで取り出すという感じでした。
・岩をけずりとった場所ははっきりしませんでしたが、岩のようすから大森層のものと推測されます。
形の良いモニワホタテガイがたくさん産出していました
同じ場所に重なるようにしてうまっていました。 | ほりだしたモニワホタテガイです。 |
モニワホタテガイの上面(左)と下面(右)です。上面は縦の筋が目立つのに対して下面は横の筋が目立ちました。(採集したものをクリーニングしたものです)
カガミホタテガイとそれに付着したと思われるエビスガイの仲間です。 | 集まって重なるように堆積しているウチムラサキガイ(ハマグリの仲間:写真右も)です。 |
今回の化石採集ではウチムラサキガイの化石がたくさんありました。右の写真は現世のウチムラサキガイ(おおあさり)です。この貝の殻の内側は紫色になっているために、その名前がついたと思われます。
ウチムラサキガイの化石には、上の写真のように中に方解石がつまっているものがかなり見られました。これは、何らかの原因で貝が生きたまま(貝ガラを閉じたまま)土中に埋められてできたものです。死んだ貝ならば、貝ガラがはなれたり中に土や砂がつまりますが、貝を閉じたまま急に埋められたために、貝ガラの中に空洞ができ、そこに方解石が成長したと考えられます。
ほんの少数ですが、シンジヒタチオビガイ(写真右も)もみつかりました。
ノムラナミガイも少数見つかりました。 | イズモタマキガイです。(中型の貝です) |
ムカシエンコウガニのツメです。体全体は見つかりませんでした | ヤスリツノガイです。折れやすいので先端部分のみです。 |
ヤベミミガイです。からの表面に網目状の模様があります。 | ヨコヤマビノスガイです。たくさん見つかりました。 |
木片とフナクイムシの巣の跡です。 | ナナオニシキガイです。珍しい種類ですが少しだけ見つけることができました。 |
ムカシウラシマガイです。少数個体見つかりました | ミクリガイの仲間とモニワホタテガイの小型のものです |
アラカワニシキガイです。大森層から産出するホタテの仲間では、一番うね(肋:ろく)の数が多いのが特徴です | 木の葉の化石もありました。 |
・写真で紹介した以外にも、多くの小型の2枚貝(サルボウガイなど)等もたくさんみられました。
今回、改めて布志名層・大森層の化石の豊富さに驚かされ、こうした露頭を保存することの必要性を感じました。
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ミズホタコブネです。堆積当時、暖流が流れていたことがわかります。大森層からの産出はめずらしいです。 |
放水路の布志名層から出てきた化石
チョウセンクダマキガイです。あまり見つかりませんでした | フジナトクサバイです。保存のいいものがたくさんありました |
ムカシクルミガイです。たくさん見つかりました | フナクイムシの巣は、あまり見つかりませんでした |
シオバラザルガイです。保存の状態があまり良くありません | ヤツカバイです。保存のいいものがたくさんありました |
ノムラナミガイです。大きいものがたくさんありました | イズモノアシタガイです。数は多く見つかりますが、保存状態が悪く、すぐにくずれてしまいます |
オオキララガイモドキです。小さくても、からの表面の独特の模様がよく分かります | タナグラキリガイダマシです。採集地点の一面にちらばっていました。もっともたくさん見かけた化石です |
斐伊川放水路の布志名層から産出しました。布志名層の中には、化石をものすごくたくさん含んだ層が見られます。そういった層を丹念に見てみると、とても保存の良い化石もたくさん見つかります。