地震のエネルギーはとても大きなものです。そのエネルギーを発生するメカニズムが、プレートの移動によって生じる力で説明されます。プレートの移動そのものを引き起こす地球のメカニズム(プレートテクトニクス / プルームテクトニクス)について考えてみましょう。

地球の表層を水平に移動する10枚程度のプレートをもとにして、地球の変動を説明する考え方です。

地球は、地表をおおう地殻、その下のマントル、そして中心にあるの3つの部分からできています。そして、マントルは大きく上部マントル下部マントルに分かれます。
上部マントルは、最上部、低速度層(アセノスフェア:岩流圏)、遷移(せんい)層に分けられます。下部マントルは、メソスフェア(固い岩石の層)と呼ばれています。アセノスフェアは、岩流圏とも呼ばれるように個体の性質を持ちながら、長い時間単位で見ると流動性を持っています。(地殻内部の放射性元素の崩壊(ほうかい)熱などによって対流している。)
地殻とマントルの最上層を合わせてプレートリソスフェア岩石圏)と言います。このプレートが、対流しているアセノスフェアの上に乗り、それぞれ固有の方向に年に数㎝の速度で動いています。(ハワイは1年間に8㎝ずつ日本に近づいています。
プレートを動かす力には、海嶺で生まれた海洋プレートが冷えて重くなり落ちようとする力、プレートが左右に分かれて拡散するすき間を埋めるようにマントル物質がわき出すときの力、海溝で沈み込んだプレートが自分の重さで引っ張る力などが考えられます。(プレートと言うと板のように思いますが、本当はたまごの殻のように球面状です。
こうして、プレートが動くときに、プレート同士がぶつかるところ(収束する境界)、プレート同士が離れるところ(発散する境界)、横にずれるところ(平行移動する境界)では、断層が生じて(すでにあったものがさらに動いて)地震が発生します。その他にも、こうしたプレートの動く力により、大陸プレートの端やプレート自体の内部でも断層が生じ、地震が発生することもあります。

 マントル内の大規模な対流運動(プルーム:plume)をもとに、地球の変動を説明する考え方をプルームテクトニクスと言います。
プレートテクトニクスが、地球の表面にあるプレート(厚さ100㎞)の変動を扱うのに対して、この説では深さ2900㎞にもなるマントル全体の動きを検討したものです。

プルームとは、舞い上がる煙を意味しています。
深さ2900㎞マントルの中では、下降するプルーム(コールドプルーム)と上昇するプルーム(ホットプルーム)が存在します。
プルームの下降・上昇は、普通は上部マントル下部マントルの境目(660㎞付近)で止まります。(マントルの密度や堅さが大きく変化するため)
しかしこの堺をこえて、大きく上昇・下降したものをスーパープルームと呼びます。

コールドプルームとは、周辺のマントルよりも温度が低く、マントルの表層から中心への向かって下降するプルームです。これは、海洋プレート大陸プレートの下にもぐりこみ、たまった後に深部に落ち込んでいくものです。複数の下降流がより集まると大きな流れとなり、スーパーコールドプルームとなります。(現在はアジア大陸の下にありますスーパーコールドプルームは、周辺のプレートを吸い寄せるために、陸地を1か所に集めて超大陸をつくる原動力ともなります。
ホットプルームとは、マントルの境から、高温になったマントル成分が上昇するプルームです。(コールドプルームの反作用のような形で説明される場合もあります)現在は、アフリカ南太平洋スーパーホットプルームが存在します。これが、アフリカの大地溝帯(だいちこうたい)のように、大陸を分裂させる力の原動力ともなります。
こうした、プルームテクトニクスの理論は地震波の伝わる速度の研究(地震波トモグラフィー)等からも裏づけられています。しかし、太平洋や大西洋の中央海嶺の下にスーパーホットプルームがないなど、まだ発展途上の部分もある理論のようです。