低塩分汽水域に形成された豊かな生態系

宍道湖は周囲長47km、面積79.1㎢の大きさの汽水湖で、斐伊川からの淡水の流入によって塩分は海水の10分の1程度となっている。広大な面積を占めているが、非常に浅く最大水深が6.0m(平均水深4.5m)のなだらかな湖底地形をなしており、風による湖水の撹拌(かくはん)などの気象による影響を受けやすい形状をしている。また、日本海との水位差が数cmから数10cmと小さく、さらに中海との間の大橋川は川幅が狭いため湖の周囲では古くから洪水災害を受けてきた。このような閉鎖性の強い水域であるため、汚濁物質や栄養塩類が蓄積されやすく植物プランクトン(アオコ)の異常増殖が起こることもあり、生態系に大きな影響を与えている。弥生時代前期(約2000年前)の低塩分化期には大発生したヤマトシジミやヌマコダキガイが貝殻密集層を形成した。
ラムサール条約登録湿地に指定されており、水環境の保全のために国や県による水域の監視が行われるとともに、市民による自然の再生運動も活発に行われている。

【カテゴリー】

〇宍道湖中海低地帯エリア(ジオヘリテイジ)

・探訪サイト(ジオヘリテイジについて探訪し、学び、教育・研究活動をすることのできる地点)

未来の子供たちが現在の私たちと同じように、今の美しい自然環境を利用できるようにするためにも、著しい環境の改変につながるような動植物や岩石等の採取等の自然環境の破壊は厳に慎んでください